たびえもん旅の思い出 独裁政権は悪いのかの巻

 ジンバブエで37年間も政権の座についていたムガベ大統領が辞任しました。長期独裁で国内の経済は疲弊し、極度のインフレにも見舞われました。

 一般的に「独裁=悪」のイメージがあります。北朝鮮なんか、まさにそうですね。でも旅をしていると時々、答えが分からなくなることがあります。

 たとえばシンガポール。「明るい北朝鮮」とも言われるように、一党独裁で国のトップは世襲しています。それで国民が困窮しているかと言えば、今や日本よりも1人当たりのGDPは高く、アジアで一番の先進国です。

 あるいはシリア。世襲のアサド大統領による独裁ですが、以前はとても治安が良く、夜でも安全に歩ける国でした。「アラブの春」と呼ばれた民主化運動の末、国が分裂し、IS(イスラム国)を生み出してしまいました。

 決して独裁が良いと言いたいわけではありません。でも民主主義が万能なわけでもありません。ムガベもかつては白人支配を破った英雄でした。

 人々が安全に暮らせているか、市場にモノが並んでいるか。旅先で考えさせられることは多いのです。(ふねしゅー)