たびえもん旅の思い出 23時の夕焼けの巻
自転車で世界一周しようと考えたとき、ゴールの日本から逆算し、僕はアラスカをスタート地点に選びました。
冬に走るのは無謀なので、出発は5月の末。アンカレジから、北米最高峰のデナリを望み、進路を東にカナダのユーコン準州を目指す道のりです。
6月のアラスカは、まだ春のはじまり。荒涼とした大地に少しずつ緑が芽生える季節。山道は険しいのですが、道は広く、景色は雄大で、町も信号もほとんどありません。
1日ずっと走り続けると150キロ、あるいは180キロ。一方で夏至が近く、太陽がほとんど沈まない白夜が続きます。
何時になっても暗くならないので、ついつい走りすぎてしまうある日、キャンプ場に到着し、テントを設営して夕飯を済ませていると、時刻は23時を過ぎようとしていました。
そろそろ寝ようとして、僕は空が真っ赤であることに気づきました。それはまるで山火事のような、強烈な夕焼けでした。
(あ、夜になるんだ…)当たり前のことが当たり前じゃない。地球の広さを実感した瞬間でした。(ふねしゅー)