たびえもん旅の思い出 911と強盗に教わったことの巻

 去る九月十一日、ニューヨークの同時多発テロ、いわゆる911事件から二十年の節目を迎えました。日本時間は夜、TVのニュースで衝撃の生中継を見た人も多かったと聞いています。

 伝聞形なのは僕が当時日本にいなかったから。自転車世界一周旅行の途中で、中米のグアテマラにいました。

 実は数日前に強盗に襲われ、自転車を奪われた直後でした。意気消沈する中、現地のスペイン語学校に通っていたのです。

 古都アンティグアには安価で良質な語学学校が多く、中南米を訪れる旅行者にも人気があります。授業を庭で受けていると、隣の民家に住む年配の女性が話しかけてきました。

「ニューヨーク」
「飛行機」
「戦争」

 断片的なスペイン語の単語を辞書で引いたものの、何が起きたのかはよく分からず、詳細を知るのは翌日以降になってからでした。

 自分の強盗被害とあわせ、世の中突然何が起こるか分からないことを学びました。今またコロナで信じられない状況が続いていますが、生きてさえいれば何とかなると、前向きに思えるのです。(ふねしゅー)