たびえもん旅の思い出 ビンボーパンを食べ走るの巻

 前々回のコラムに続いて、二十年前に挑戦した自転車世界一周旅行の話。日本を出発しておよそ二か月、カナダ、アメリカを駆け抜けた僕は、中米メキシコにやって来ました。

 未知の国メキシコ、自転車で問題なく旅行ができるのか、最初は不安もありましたが、街道沿いには大きなスーパーがあり、商店があり、標高千メートルを越える高原地帯の涼しさもあって、順調に旅は続きます。

 タコスに代表されるメキシコ料理も美味しいですが、自転車移動の際の行動食としてお世話になったのは、その名もビンボーパン。

 最近子供に「メキシコでは毎日ビンボーパンを食べていた」と言って笑われたのですが、馬鹿にするなかれ、ヤマザキパンを上回る世界最大のパンメーカーなのです。

 たいていの町に手頃な安宿が見つかるメキシコですが、ある日の午後、激しい夕立に見舞われます。次の町まで走る予定だったところ、急遽見つけたガソリンスタンドで雨宿り。

 拙いスペイン語で泊めてもらえるか頼み込み、ビンボーパンを齧りながら、一夜を過ごしたのでした。(ふねしゅー)