たびえもん旅の思い出 中東シリアのクリスマスの巻

 二十年前の十二月、僕は自転車世界一周旅行の途中で、中東のシリアを走っていました。

 その後の内戦やIS(イスラム国)の騒乱などがあり、危険な印象を持たれている人もいるかもしれませんが、人々は優しく、治安もよいため夜も安心して歩ける国でした。

 首都のダマスカスまであと一日の距離、とある町でホテルを探すのですが見つかりません。町の市場付近で尋ねると、トラック運転手のおじさんが「連れてってやるから、ついて来い」と。

 見知らぬ人についていくのはリスクもありますが、旅が長くなるにつれ、見極める嗅覚も鋭くなります。

 自転車ごとトラックに揺られている時間は思ったよりも長く、連れていかれたのはマアルーラという町。イスラム教徒が多数のシリアにあって、キリスト教徒が多く暮らす町でした。

 古い修道院が宿泊客を受け入れており、泊まることができました。実はこのマアルーラ、キリストが使っていたアラム語が今なお話されているという伝説的な町。

 素朴なクリスマスの飾り付けと、漏れ聞こえてくる子供たちの歌声が印象的でした。(ふねしゅー)