たびえもん旅の思い出 優しいアフリカの巻

 今から二十年前の五月、僕は自転車でアフリカを南下していました。ときに宿に泊まり、ときに野宿をしながら。

 アフリカで野宿? 危なくないの? と思う人もいるでしょう。完全な野宿というよりは、駅などの施設を訪れて構内でテントを張らせてもらうようなことが多かったです。

 ザンビア、ジンバブエ、そしてボツワナ。
 都市部は治安が悪かったりもするのですが、田舎へ行くと人々は穏やかで、夕食を一緒にご馳走になったり、「ニンジャは実在するのか?」なんてお決まりの質問を受けたり、「日本に行きたい、連れていってくれ」なんて言われて困るのが常でした。

 ヨーロッパやアメリカだと、いまだ黒人差別が根強く残っているように、経済的な格差もあって、黒人は貧しかったり犯罪率が高いという良くない先入観がありましたが、旅を続けるにつれて、当初抱いていた警戒感も意味がないものとして薄れていきました。

 アフリカの水を飲んだものはアフリカに帰る、ということわざがあります。いつかまた、あの優しいアフリカを再訪したいものです。(ふねしゅー)