たびえもん旅の思い出 一目惚れは永遠の巻

 エルメスのシルクスカーフ。厚みのある絹地を使い、染めや縁かがりも全て手作業で仕上げられています。

 多いときは三十色以上の染料で染め上げられた絵柄は優雅にして斬新。ブランド品にさほど興味のない私が唯一、欲しいと思った逸品です。

 パリへの旅行が決まった時は、真っ先に「エルメス本店でスカーフを買う」この夢を叶えようと思いました。

 勇んで出向いたエルメス本店は、高級ブランドのお店がずらりと並んだ一角にありました。ガラスケースの中の1枚に目が留まり、広げてもらった最初のそれに一目惚れして即購入。決断の速さに店員さんが少し驚いていた事を覚えています。

 それから歳月は流れ、久しぶりにエルメスのサイトを覗いてびっくり! 値段が当時の倍近くまで上がっていました。円安だけでは説明がつかない高騰ぶりです。

 あの時、迷わず買っておいて良かった。焼き鳥の串をひっかけて慌てたこともあるけれど、今も愛用しています。固かった布地もいまは柔らかくこなれて、秋冬の首まわりを彩ってくれています。(ごっちん)