第18回 病気や怪我の対処法(旅行中のトラブルを未然に防ごう)
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子連れ旅行は楽しみですが、やっぱり一番心配なのは、子供の病気や怪我ですね。
たびえもんの前身、旅育ひろばが企画した練馬区子育て学習講座「ケガも病気も怖くない!子連れ海外旅行の作り方」にて、
講師の先生にお伺いした話をもとに、子供を海外へ連れて行く際の注意点や対処法についてご紹介します。
飛行機の搭乗について
機内の気圧は約0.8hPa、つまり地上のおよそ8割に設定されています。影響を受けるのは離陸と着陸の際、
上手に耳抜きができない子供は、気圧の変化で耳の痛みを感じ、泣き出してしまうことがあります。
大人であればあくびをしたり、唾を飲み込むのが効果的ですが、小さい子供はできません。
あらかじめ水を用意しておいて、飲ませてあげるといいでしょう。
長時間のフライトの場合、寝てくれないと困ると言って、眠り薬の処方を希望する人がいますが、
逆に興奮してしまうこともあり、あまりおすすめはできません。
飛行機に搭乗可能な年齢(月齢)について、生まれて7日経てば、乗れることになっています。
ただ実際は、まだ首が座っていない段階での移動は大変ですので、6ヶ月くらい経ってからが無難です。
現地で気をつけるべきこと
- 食べものに注意
- 飲み水に注意
- 虫、および動物に注意
- 水遊びに注意
- 交通事故に注意
生ものに手を出さないのは基本ですが、果物であれば、カットされたものは買わず、丸ごと1つを購入して下さい。
屋台や食堂などでは、目の前で調理しているのが見えるところはよいですが、何が出されるか分からないようなところは注意です。
水はペットボトルに入ったミネラルウォーター。売っている場所によっては、いったん開封したものに水道水を詰めているような悪徳の可能性もあるので、
蓋の状態をしっかり確認しましょう。氷入りのジュースなどは、ジュース自体は大丈夫でも、氷がよくない場合があります。
多くの病気が虫や動物を介して感染します。熱帯地方であれば、蚊が要注意。
虫除けスプレーが必須ですが、日本のものは効力が弱い(そのぶん肌に優しい)ので気をつけて下さい。
犬、猫、その他の動物については、狂犬病をはじめとする病気を持っている可能性があるので、極力触れ合わないほうが無難です。
海水浴ではそれほど問題ありませんが、湖や池など淡水の場合、
海にはない病原菌が生息している可能性もありますので、充分な注意が必要です。もちろん溺れるなどの水難事故にも注意です。
海外旅行で最も気をつけるべきは、病気よりもむしろ事故です。
日本よりも道路事情や交通マナーが悪い国が多いので、子供から目を離さないようにしましょう。
これは大人だけの旅行の場合も同様ですね。病気や治安の心配に気持ちが取られがちですが、確率的に一番怖いのは交通事故です。
いざというときの対処法
- 発熱の場合
- 咳や鼻水の場合
- 下痢や血便の場合
- 嘔吐の場合
- 怪我や事故の場合
- 動物に咬まれた場合
- 高山病の場合
体温よりも、元気さがあるかどうかを判断のポイントに。
注意したいのは、頻繁な嘔吐があるとき、目が合わないとき、お腹や頭を強く痛がるとき、唾が飲み込めないとき、数日間高熱が続くようなとき、などです。
熱帯地方で高い発熱の場合は、マラリアを疑う必要があります(潜伏期感がありますので、帰国後の発症も)。
大半はいわゆる風邪による鼻水の喉への垂れ込みが原因で、それほど緊急性が高くないことが大半です。
ただし、呼吸が速くなったり肩で息をしている場合は呼吸不全、息を吐くときにヒューヒューといった音がしている場合は喘息、
咳が止まらず三種混合ワクチンを打っていない場合は百日咳の疑いが考えられます。
先進国ではウイルス、発展途上国では細菌が原因の場合が多くなります。いずれにせよ免疫が正常の場合は自然に治ります。
下痢による脱水症状には注意が必要で、効率的に水分(および電解質、糖分)をとることが求められます。
スポーツ飲料もしくは、砂糖40グラム(ひとつかみ)、塩3グラム(ひとさじ)、水1リットルで、応急の経口補水液を作ることができます。
乳児は胃の噴門部が未発達のため簡単に吐きます。2~3回の嘔吐はよくあることです。
発熱と嘔吐、あるいは下痢が加わった場合は脱水が進みやすいので気をつけましょう。繰り返し嘔吐が続くようだと、消化器系の問題の恐れがあります。
最も気をつけるべきは、病気よりも不慮の事故です。危険な場所では目を離さないようにしましょう。
心配されるのは頭部に衝撃があった場合です。国や地域によっては日本のようにCTを撮れません。
意識がはっきりしない、痙攣がある、嘔吐が5回以上、6時間以上続く、事故前後の記憶がない、などの場合は特に注意です。
海外のほとんどの国で狂犬病の可能性があります。万一発症すると100%の致死率がある恐ろしい病気のため、
咬まれたら直ちに病院へ行き、ワクチンを接種する必要があります。
犬以外の動物、猫やキツネやコウモリなども狂犬病を持っていますので、近づかないようにしましょう。
一般的に高度2000メートルを越えると、高山病の症状が出る場合があります。個人差が大きいですが、小児は発症しやすいといわれています。
飛行機などで急激に標高の高いところに移動した場合は注意が必要で、頭痛、疲労感、食欲不振、吐き気などが見られた場合は高山病の可能性を疑いましょう。
根本的な解決策はただ1つ、低地に降りることしかありません。
備えあれば憂いなし
気をつけていても、病気や怪我をしてしまうことはあります。そんなとき慌てず対応できるように、以下の点に気をつけて準備をしておくとよいでしょう。
- 海外旅行傷害保険に加入する
- 利用できる医療機関を調べておく
- 母子手帳を持参する
海外旅行者のうち、保険に加入して行く人の割合は、3割程度とも言われています。
外国では日本の保険証は通用せず、万一の際に高額な医療費を請求されることがあります。
家族向けの割安プランもありますので、必ず保険には加入して旅行にお出かけ下さい。
クレジットカードに付帯した保険は、補償内容が不充分な場合がありますのでご注意を。
日本人が多い場所であれば、日本人医師がいたり、日本語が通じる病院がある場合もあります。
たいていガイドブックにも情報が載っていますので、あらかじめ調べておくといざというとき安心です。
海外旅行保険に加入していれば、提携する医療機関の紹介を受けることもできます。
母子手帳には子供の成長記録や予防接種の履歴が記録されています。海外では義務化されている予防接種が日本では任意の場合もありますし、
聞かれたときに答えられるようにしておくと便利です。短期の旅行では不要と思いますが、英文など多言語に対応した母子手帳やワクチン接種証明書なども、必要に応じて準備して下さい。
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