たびえもん旅の思い出 人生最高標高の巻

 夏休み、高校生になる長男が友達と富士山へ行くそうです。僕は日本一の山である富士山に登ったことがなく、ちょっと先を越された気分です。

 ただ富士山よりも高い場所へ行ったことは何度かあり、一番はパキスタンと中国の国境フンジュラブ峠、およそ四八〇〇メートルの標高でした。

 当時自転車での世界一周に挑戦していた僕は、旅のクライマックスとしてそのフンジュラブ峠を目指しました。中パ両国の物流をつなぐ「ハイウェイ」とは名ばかり、インダス川上流の険峻な崖沿いの道。

 途中の村では悪ガキに石を投げられ、雨で崖崩れになっている箇所があり、体調も崩し、今思い出しても大変な道のりでした。

 一方で景観は素晴らしく、『風の谷のナウシカ』の舞台とも言われるフンザの村を過ぎ、国立公園の区域に入ると天上世界。

 軍の施設に泊めてもらい、空気の薄さで息を切らしながらもペダルをこぎ、雪原を駆けるヤクのような動物に出会い、『中国』という漢字標識を見たときには感動がありました。

 いつか五千メートル超の景色も、観たいと思っていますが。(ふねしゅー)