たびえもん旅の思い出 ある日森の中、熊さんに…の巻
今から二十年前、二〇〇一年の五月末に僕は旅に出ました。このコラムでも何度か書いている自転車世界一周旅行です。
成田空港を出発し、ロサンゼルスとシアトルを経由し、最初の目的地はアラスカのアンカレジでした。
北米最高峰として有名なデナリ(マッキンリー)を経由して一路カナダを目指す道のりは荒涼として雄大、キャンプ場に泊まれば必ず「熊に注意、テントに食べ物を置かないこと!」と警告する貼り紙がありました。専用のフードロッカーが設置され、食料はそこに保管しておくのが規則なのです。
街道を走っているときに一度、野生の熊と遭遇したこともありました。車通りの少ない針葉樹林帯の道、時速二十五キロくらいで順調に走っていた僕の真横で、突然ガサガサッと音がしたのです。
振り向くと、すぐ後ろで悠然と道路を渡ろうとする熊の姿が…。
ちなみに熊は全速力だと五~六十キロの速さで走れるとか。熊のほうも自転車の僕に気づいていたと思いますが、万一こっちに来ていたらどうなっていたことか。命拾いしたお話その一、続きはまたの機会に。(ふねしゅー)