たびえもん旅の思い出 旅行が残した財産は何かの巻

 海外に行って自分がこれまでに培ってきた常識や社会通念がひっくり返される体験が面白くなり、はや三十年。

 ひっくり返される体験というのは、楽しい事や嬉しい事ばかりではありません。苦しさや憤り、後ろめたさを感じさせるマイナスな出来事の方が、強く心に残ることもあります。

 時々、授業内容に絡めて旅の経験を話すのですが、多くが大変な目にあったエピソードです。例えば列車が半日遅れて、駅構内で夜通し待ち続けた話。定刻に2分遅れただけで謝罪のアナウンスが入る日本の鉄道に慣れている生徒達の目は真ん丸になります。

 先日は平和学習の授業で、アウシュビッツ強制収容所の中で見た展示物の話をしました。ユダヤ人の女性から刈り取った髪の毛で織られた毛布の話をすると、教室のあちこちから小さな悲鳴やうめき声が聞こえてきました。

 政治や人心が一歩間違った方向に動くと、人の所業とは思えない悲惨な出来事が起きてしまう。先人の誤ちを伝え、若い人の心に何かが響くのであれば、旅に費やしたお金も時間も活きるというものです。(ごっちん)